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血液内科

長期入院や特殊な治療により、患者様には多くの不安やストレスが生じます。当センターは、患者様お一人お一人との距離を縮める努力として、患者様の心のケアーを含めた苦痛除去に重点を置き、様々な独自の取り組みを行っております。その一部をご紹介いたします。

【末梢血幹細胞移植患者からの闘病手記〜明日、移植を受けられるあなたへ〜】

血液病センターでは、患者様と診療スタッフとのコミュニケーションだけではなく、患者様同士の情報交換を重要視しております。化学療法や移植を受けた方にしか理解できない、治療による苦悩やその解決策などの貴重な体験談を「励ましの言葉」として、次に同じような治療を受けられる患者様へお送りしています。ここにそれらをご紹介いたします。


02【50歳代 女性】

4年前、「悪性リンパ腫」という病名を聞いたときは、事前に検査などで一応の覚悟はしていてもショックでした。でも進行がゆっくりのタイプだったので、仕事を続けながら考える時間がありました。病気や治療について医師から説明を受けても、今まで知らないことばかりで、よくわからず、インターネットや本で調べたりしました。「今から戦う相手を知らずに怖がっても、仕方ないじゃない」という感じでした。先生の説明は、そのときはわかった気がしても、気持ちが動揺しているので後でしっかり思い出せないこともあります。インターネットは読み返せるので便利です。専門病院の治療説明も役立ちましたが、患者さんのブログは、具体的でイメージがつかみやすかったし、気持ちの上でもこんなに愚痴をこぼしながらもがんばって治療しているんだと励まされました。人はみんな何かを抱えて生きているものと思って、私自身も「治療はきちんとがんばる。」「今の生活で変えずにできることは、変えずに続ける。」「したいこと、好きなことはする。」と気持ちを決めることができました。

6ヵ月後に入院、抗がん剤での治療開始。2クールは入院して、後4クールは通院で治療、内3クールは仕事に復帰しての治療でした。不安を抱えての入院でしたが、同室に同じ病気の方がおられていろんな情報を教えていただいたことが、不安を和らげてくれました。お互いの病気の話、副作用で気分が悪いとき、食欲がないときの過ごし方、検査データーの見方、髪の毛が抜けたときのウイッグの購入について、生活をする病院の色んな施設やシステム等々、細々したことも気兼ねなく教えていただきました。同じ病気の方と「いややなぁ」と気分の悪いことや不安な気持ちを話すと、「一人じゃないんだ。みんながんばっているから私もきっとやっていける」と思えるようになりました。しんどくても気持ちが楽になりました。また、検査の数値や食欲、体温、排泄など、記録しておくことも教えてもらいました。幸い副作用も軽く、自分の副作用の状態や期間がわかりだし、この時期が過ぎるとましになることが分かると不安も少なくなりました。

無事に治療も終わり、PETでも寛解。ほっとしながら仕事の忙しさに追われていたら、1年半後に再発。これも、話には聞いていたものの実際にリンパが腫れてきて生検となると「あーあ これ何!」と治す意欲より落胆が大きかったです。でも、今度は「ゆっくり」と言ってられずすぐに治療開始。今回は「自家移植」までするとのこと。またまたインターネット情報とにらめっこ。書いてあることは何となくわかっても、不安。今回は入院生活も6ヶ月はかかり後のことが分からないので、長期休職をして、その時間をしっかり治療に専念してまた復帰できるようにすることを目標におきました。

今回の入院は6クール後の自家移植がしんどうようなので、しっかり気持ちが維持できるよう、「自分だけのことをしていい時間」をできるだけ楽しめる「ホスピタルライフ」にと長い病院での時間をどう過ごすかを考えました。「治療一色にだけ染まるのはいや」という思いがあったのでしょう。入院準備のときにずっとしていなかったレース編みの本と糸と針を買ってきて入れました。

2回目の入院、同室は同じ病気の方ばかりだったので、緊張せずにスタートできました。ありがたいことに自家移植をされた方やこれからされる方がおられて、実際にそばでいて話が聞けたり、治療の過程を見ることができ、どれだけ励まされたことか。
一言で「吐き気」「下痢」と言ってもどれくらいのものなのか分からないけど、具体的な体験談を聞くことは、そのときの気持ちやその対処の仕方まで教えてもらえるので助かりました。特に自家移植の時の無菌室の話は、トイレや食事など生活に関わることなど体験しないとわからないことを細々教えてもらっていたので、実際に入ったときによくわかりました。また、本当に今まで以上にしんどいから我慢せず先生や看護婦さんに頼ること、がんばらないでその時期が過ぎるのを身を任せて待つことなど、気持ちの持ち方も話してもらったことで、自分が実際に副作用でしんどくなったときに不安がらずにいることができました。

治療でしんどくないときは、体力を落とさないために廊下や中庭を歩き回っていました。はじめは気恥ずかしかったけれど、習慣になると、ほかにも歩いてられる方もいるし、顔見知りもできあいさつをしたり話したりできるようになりそれも楽しかったです。一緒に朝日が昇るのや夕日が沈むのを見たり、お風呂で出会う方に励ましてもらったり、それなりに色んな話が聞けて楽しかったです。元々手仕事が好きなので、レース編みをいっぱいした後は、パッチワークのキットを持ち込んだり、小物を作って長い病院の時間を楽しみました。町はクリスマスなのにと思って、クリスマスの飾りのキットを買ってきてもらってつくって、ベッドに飾ったり、読書をしたり、色塗りをしたり、数独をしたり、結構ベッドサイドでできる楽しいことも探すといろいろありました。病気の治療は、元々うれしいものではないので、「それだけではいや 生活を楽しみたい」という気持ちが強かったのかなと思います。

この生活を支えてくれたのが、第一は家族です。顔尾を見るだけで、少し話すだけでほっとして元気になりました。友だちや今までかかわってきた方たち。それから信頼できる先生、分からないことは聞くときちんと教えていただけるし、回診の時のちょっとした会話や楽しい雰囲気で前向きに治療を進める元気をもらいました。「しんどかったら我慢しなくていいのよ。いってね。」といつも声をかけてくれる看護師さん。元気な笑顔にほっとしてついおしゃべりが長くなってしまうことも。「大丈夫?」「大丈夫よ」にいっぱい励まされました。何気ないお天気の話をしてくれる掃除のおばさん。無菌室でお世話になった助手さん。体調を気遣ってくださる心理リハの先生たち。私の病院生活は、ほんとにいろんな人に支えられていたなぁと感じ感謝しています。

入院時のことを言葉にすると、本当は悩んだりしんどかったり、もっとおもしろかったり、こんなもんじゃないのにと思ったりしますが、その一部です。病気とのつきあいは、まだまだずっと続きます。これからも色んな人に助けてもらいながら、できることはがんばって、楽しいことをいっぱい探しながら生活していきたいと思っています。